フラット化してしまった世界。

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コールセンターのその先は?

例えば、あなたの会社のサーバが故障したとしよう。

まずやるべきことは、保守契約を結んでいるメーカーのサポートセンターのフリーダイヤルに電話をかけることである。

電話をするとオペレーターに繋がるのだが(>往々にしてだいぶ待たされてすぐには繋がらないものだ)、最近の受付オペレーターは明らかに「日本人ではない」ことが多い。中国訛りの辿々しい日本語で受け答えをしてくる。おそらく中国の大連(ダイレン)あたりであろう。

まーこちらもオペレーターと今の日本と中国の外交情勢について議論を戦わせるわけでもなく単に修理の受付をしてもらいたいだけなので、多少日本語が不得手でこちらのニュアンスが通じずちょっとイラっとすることもあるが、結果的にきちんと修理の受付をしてもらえば
それはそれで問題はない。

「後ほど、担当のエンジニアから折り返し連絡を差し上げまーす」と棒読みのセリフを吐いて一旦電話が切られる。

30分後、エンジニアからコールバックがかかってくる。エンジニアは明らかに「日本人」だ。日本語も問題なく通じる。ちょっと安心する。こちらの詳細な用件を伝え、あとはスムーズにサーバの修理が進んで、めでたし、めでたしとなる。

フラット化する世界。

トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』という書籍の中で似たようなエピソードがあり、コールセンターのオペレーターなどの定型的な仕事については、アメリカ国内ではなく、ほとんどが外国、特にインドにアウトソーシングされているとのことである。

確かにインドは英語圏、人件費も極端に安い。インターネットのIP電話を使えば電話代などの通信コストも、国際電話ほどにはかかからない。

逆に言うと、電話で済んでしまうような仕事、電子メールなどで済んでしまうような仕事はアメリカ国内で行う必然性はむしろ無くなってきてしまっているのである。

そのため、従来コールセンターなので働いていたアメリカ国内の従業員たちが職を失い、「企業のアウトソース」という合理的判断が、「国内雇用の減少」という事態を招いているというのはなんとも皮肉なことである。

翻って、日本はどうか?

「日本語」という壁があり、簡単に海外に業務をアウトソースが出来ないという事情はあるが、さきほどの事例のように、中国の大連などを中心に日本語の教育を受けた安い賃金の労働者が増加しており、コールセンターのオペレーション業務や、伝票の入力業務など比較的定型的な業務ははどんどん海外にアウトソースされつつあるのが現状である。

実際、プログラミングなど言語の壁の影響を受けにくい業務なども徐々にアウトソース(オフショアと言うそうだ)されつつあるとのことである。

同じレベルのプログラム技術を持っている日本人と、中国人と、インド人。仕事をお願いするのなら誰?となったら、長期的に考えれば中国やインドであろう。人件費の高い日本人を選択する道理がない。
ゆえに「プログラムが出来る日本人」は人件費が安価な(5分の1から10分の1?!)な
中国やインドと競争をしていかなくてはいけない時代になっているのである。

日本人1人に仕事を振るか、同じ予算でインド人10人に仕事を振るか?
「人月」や「工数」を単価にして仕事を受注しているシステム会社なら、同じ値段で人手が多い方が「経営的には合理的」な判断だろう(その分、日本人1人分の雇用が失われるのは残念ではあるが)。

フラット化してしまった世界

このように、アメリカだ、日本だ、中国だ、インドだというドメスティック(国内)な境が
取り払われてしまった「フラット化した世界」では、安穏としているわけにはいかなくなった。

これからの日本人は「10倍のお金を払ってでもいいから、インド人ではなく君に仕事をお願いしたい」と言われるような「優秀な人材」にならなくてはいけない、むしろそうならないと、どんどん中国やインドに仕事が奪われ、仕事に溢れてしまうのである。

なんか当初の意図とは違って、危機感を煽るような内容になってしまったが、残念ながらこれが現実だし、現状だし、これから世界のフラット化はますます加速して広まるであろう。ましてや決して逆戻りすることはありえない。

10年、20年の単位で見ていけば、もしかしたら中国やインドだってうかうかしておられず、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどのアセアン諸国や、場合によってはアフリカ圏諸国(>旧イギリス領が多いので英語が公用語なのだ)と仕事の奪い合いになる時代が来るかもしれない。

来るべき、いやもうすでに迎えてしまった「フラット化してしまった世界」の中で各々がどのように生存競争に生き残っていくか、考えるべき時期に来ているのであろう。

フラット化する世界〔普及版〕上

トーマス・フリードマン
日本経済新聞出版社
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